寒い冬。オネショを治そう!


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さて、こどものオネショについてです。

・どうしてオネショが起きるのか。

・現在の病院で行われる医療。

・小児はりとオネショ治療について。

を書こうと思います。

 

今のところ、「オネショ」と「夜尿症」の定義は曖昧なままです。

しかし一般には、こんな風に捉えられている様です。

オネショは睡眠中に無意識に尿を漏らしてしまう生理現象で、4歳までの乳幼児であれば心配せずに放置して良いでしょう。

でも、5歳を過ぎても週2回以上の夜間尿失禁が3カ月以上続くと夜尿症 😥 という病名が付けられてしまいます。

つまり、「オネショ」は生理現象。「夜尿症」は病気ということになっています。

どうして、5歳で線引きされているかって?

それは簡単な理由です。

統計的に!夜間の無意識な尿失禁は、5歳までに約80%が消失 🙄 するからです。

実に西洋医学的な線引きですね(笑)。

以上の様に言われているからには、今では夜尿症を積極的に病院で治しましょうという事になっているのです。

これは、医師側の意見ですよ、あくまでも。

 

その事に触れる前に、オネショの原因について触れてみたいと思います。

膀胱の容量<夜間の尿量=尿失禁あり

膀胱の容量>夜間の尿量=尿失禁なし

簡単に書くと、オネショは睡眠中に作られる尿が膀胱に溜めておける量を上回ると漏れてしまうだけのことです。

※ここであつかうオネショは、あくまでも機能的な問題について触れています。ごくまれに、尿路奇形を始めとする器質的・構造的な問題でオネショになっている場合がありますが、その問題についてはここでは触れません。

原因は大きく分けて3つ。

①睡眠中の抗利尿ホルモンの分泌量が不十分で、夜間の尿量が増加する。

②夜間尿を溜めておく膀胱容量の低下。

③夜間尿意覚醒の未熟性。

だいたい、以上の問題が単独もしくは絡み合って生じています。

 

①について

抗利尿ホルモンなんて、聞いたことありませんよね。

下垂体(かすいたい)という大脳の下にぶら下がっている器官の後葉(こうよう)と言う部分から分泌されて、腎臓に働きかけます。このホルモンが正常に働くと、腎臓で水分の再吸収が活発になされる結果、尿量を減らし濃い尿が生成されます。

抗利尿ホルモンの分泌が不十分などの理由で、睡眠中に沢山の尿が作られて膀胱に溜まってしまうと、朝がくる前に膀胱容量を超えてしまうために尿失禁してしまうのです。

大体の目安、本当に目安ですけれど、朝起きてシーツまでビッショリになってしまうほど大量のオネショを繰り返す場合は、もしかしたら抗利尿ホルモンの問題なのかも知れません。

理屈は簡単で、膀胱は正常に膨らむけれど中に入ってくる尿量が多すぎて漏れてしまうという状態が想定され、その場合は当然多量の尿失禁になる可能性が高いからです。

②について

夜間は昼間以上にたくさんの尿が溜められるように膀胱が大きく広がるのです。起きている時のように2時間~3時間おきにトイレに行っていたら、睡眠の質が落ちてしまいますよね?ですから、こういった事が無いように発達段階で身体が身につける大変合理的なしくみなのです。膀胱壁は平滑筋という柔らかい収縮性のある組織で出来ています。それらは自律神経で支配されており、この働きで夜間は平滑筋が緩み膀胱壁が伸展して膀胱内の容量が増加した状態になっています。何度も言いますが、これは発達段階で獲得する生理機能です。=成長には個人差があります。同級生でも身長が違うのと同じです。

③について

これは最初の式で見られるように、夜間尿量が膀胱容量を上回ってしまった時に、尿意をもよおして目が覚めてトイレに行くという機能が未成熟だと言う事です。しかし、②で述べたように、夜間に何度もトイレに起きる事は健全ではありませんので、尿意で目が覚めてトイレにいければ全てOKという訳ではありませんよね。

 

現在の病院では、①に対しては抗利尿ホルモン薬であるミニリンメルトOD錠などが処方されます。これは、抗利尿ホルモンを補充するお薬ですので、服薬する事で本来下垂体後葉から分泌されるべきホルモンをお薬で補充しようという医療です。ですから、理論上は①が原因で夜間の尿失禁をしているこどもは、尿失禁が消失もしくは減少するわけです。一方で、②③に対しては①ほど有効なお薬は無い様です。ですから、これらに対しては、アラーム療法というトレーニング(?)を行われたりします。これは、パンツのおしっこが付くであろう箇所にセンサーを取り付けておいて就寝し、睡眠中にパンツが濡れるとアラームが鳴って本人にしらせる仕組みです。これがいい方法なのかどうかは、私には分かりません。

現状、夜尿症で病院を受診しても原因による治療は①位のものと言えるでしょう。それに、成長段階のこどもにホルモンを外から補充するのは、オネショ治療にしては大袈裟だと個人的には思っています。しかし、抗利尿ホルモンの分泌量が少なく、自然な発達を待てない程、本人や保護者が参っていて、原因がそれならば使っても仕方無いかも知れませんね。私は関心ありませんが。

いずれにしても、どんな治療法も必ず治る魔法ではありません。

夜尿症は東西両医学において、治療開始してもすぐには治らない場合も少なくありません。

ですから、実は病院を受診しても夜尿症治療の基本は生活指導だそうです。これは我々鍼灸院でも最も重視するところです。夜尿症となって診療の対象となっても、かなりの割合でまずは生活パターンの見直しからと言うことは、この段階までは適切な情報を得て実行することで服薬やアラーム療法をせずに、改善できる可能性が高いと言えます。

規則正しい生活習慣として、水分・食事は朝と昼に十分摂取し、午後からの水分摂取は控えめにして夕食は早めに取って、その後寝るまでは水分摂取をできるだけ控える。摂取した水分が尿になるまでが大体2時間程度なので、夕食後、就寝までは2時間前後あけること。食事の塩分や糖質は口渇や利尿に直結しますので、過剰な味付けをしない様にし、食後のデザートや果物を摂取しない。寝る前に、必ずトイレに行ってしっかりと排尿する。今の季節、寝冷えしない様に保温対策をする。ここからが、保護者の皆さんにとって大切で辛抱が必要とされるところです。夜尿を責めないこと・他の兄妹と比べない・夜間に起こして排尿させない・普段から良くほめて本人の自信を付けさせること。特に夜尿がなかった日は沢山ほめて上げでやる気を促すことです!

 

夜尿症の問題に対峙する時、親子の関係が良く見えてきます。

親はこどもに期待した分だけがっかりしてしまいがち。

過剰な期待はせず、自然な形で本人のやる気を引き出してあげる。あとは待つ。ただただ、彼らの成長を信じて待つ。

かと言って、ただただ甘やかすのとは違うと思います。

生活習慣の見直しで、かなり改善できる事はもうお話しました。

親もこどもと一緒になって、夕食の内容や夕食の時間、就寝時間、起床時間など生活習慣の改善に臨む。そして、こどもに就寝前のトイレや食事の後の水分摂取、果物の摂取を控える努力をさせる。親もこどもも同じ目標に向かって、それぞれに努力をして臨む夜尿症改善の過程は、良好な親子関係を再構築して互いの絆を深めるのに絶好の機会だと思いませんか?親がこどもに無関心であったり、親の過保護が過ぎたりすると、いつまでたっても治療の効果が上がりにくいと思います。

 

そして、夜尿症を改善するには決して焦らない事です。

こどもは夜尿症を親から責められるとすっかり自信を失って、朝うつむきながら幼稚園や学校に行かなければなりませんね。こんな状態で登園(登校)したんでは、友達付き合いや行事にも積極的になれないかもしれませんよね。かわいそうに、彼らの気持ちは深い深い海に沈んでしまいます(涙)。

こどもと言うのは、身長など外から見える部分だけでなく内臓も成長途中です。ですから、内臓機能が成熟していく速度も個人差があります。これは、当たり前の事です。

それを、みんなと私の社会的枠組みや、西洋医学の様に徹底的に分析した悪いと決めた部分をやっつけようと言う思想の中に、時に無理矢理当てはめられてしまうと、自由な自分を発揮して個人差があって当たり前のこどもの健全な成長を阻害してしまう事だってあると思います。それが、社会的・西洋医学的に正論であったとしても、いつでも個人、特にこどもに当てはまるとは限らないからです。

 

大切なことは、本人と保護者の治療に対する前向きな姿勢です!!

はい、あとはよろしくね。で放っておいて結果が伴う医療なんて、この世のどこにもありません。絶対にありません!!

 

親子の共同作業の合間に小児はりを介入させることで、こどもの自然な成長を促したり、夜尿以外の体調管理もしっかり行うことができます。お薬だけに頼ること無く、ごく自然で、本人のホメオスターシスを最大限に引き出してくれる小児はり。こどもは日々変化する。大人の変化はほんの少し。小児はりを施術していると、こどもは別人になると感じる事もあります。それほど、活発に発達しているこどもにはお薬よりも、まずは小児はりをお勧めしています。お気軽にご相談下さい。

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