今回は免疫の話から少し離れて、ラポールについて。
『ラポール』 一度は耳にした事があるのではないでしょうか。
もともとは臨床心理学の世界で生まれた、臨床心理士(セラピスト)と患者(クライアント)において築かれるべき信頼関係の事。
「この場は安全で、安心できるな。」 という場を作ることです。
ざっくり言えば、 ラポール = 信頼関係 です。
このラポールですが、この世に生まれ成長するにつれ、様々な場面で形成され時には壊され、また形成されていくものですよね!?
これを読んでくださっている大人の皆様なら、体験的に理解しているはずです。
では、自分ひとりしかいない世界だったら必要でしょうか? どうでしょう??
ラポールなんて必要ありませんね。
一人であれば、信頼関係の対象が存在しないのですから当然です。
新生児はまさに一人の世界に生きていますが、やがて一般的には母親との間にラポールを築いてゆきます。
私とあなた、二者の関係です。このお母さんとの関係が確立した生後7か月頃でしょうか、人見知りが始まります。
そして赤ちゃんは更に成長を遂げ、二者関係から三者関係つまりお母さん以外の複数の人と社会的な関係を持つようになります。
二歳前後。この頃のこどもは、他者関係を築く中で自由な自分を発揮して社会生活を営み始めます。
この辺りで出てくるのが、イヤイヤ・暴れまわる・物を投げる・叩く・癇癪を回すなどの症状です。私の治療院に来ているこどもの中には、こういった症状を持つ子もいます。
第一次反抗期と言われる年代で、親の言うことをそう簡単には理解してくれませんのでご両親は大変です。
でも年齢に応じて出現するこれらの症状は、成長の過程で我が子が無事に成長している証拠とも言えます。
しかし、困った症状が長く続いたり、強過ぎたりで本人や家族が困るほどになると、それはやはり何らかの形で介入してあげた方がいいですよね。
私の場合は、小児はりで治療してしまいます。
それはそうと、、、
諸説ありますが、ここまでの年齢(1歳から3歳位)で基本的な人格形成がなされるそうです。
であれば、一人の世界から二人の世界になったその時に、お母さんとの良好な信頼関係が築かれるべきですね。
この時に、親の都合でかまってもらえなかったり思いっきり甘えることが許されないと、安全で安心できる場所を見つけられないまま、その子は成長していってしまいます(涙)。
二者関係が上手く出来ないのに、三者関係やそれ以上の複数の関係が良好に築けますでしょうか。 ちょっと難しそうです。
では、どうすれば二者間の良好なラポールが築けるのか。
それは、ふれあいなんです。
たとえ少しの時間でも、愛情深い豊かなふれあいが子どもを育んでくれます。
人の皮膚は発生学的には、脳や中枢神経と同じ外肺葉から形作られています。
ちょっと難しいですが、人は受精卵から細胞分裂を繰り返していく発生の段階で、内胚葉・中胚葉・外胚葉に分かれます。
そこから、それぞれの役割を細分化する組織器官に分かれて行くのです。それを分化といいます。
皮膚は、脳や中枢神経と出身が同じなんです。
ですから、「皮膚は露出した脳」と言われたりもします。
良好なふれあいは、皮膚への心地良い接触刺激です。
触れる事、なでる事、抱きしめる事は、それを施す側にも同じように中枢神経系へと心地良い信号を送ります。
ですから、親子間で愛情深い皮膚の接触が多ければ多いほど、脳や中枢つまり心の成長が促されるのです。
そうした安らぎの中で育った子どもは、将来良好な他者関係を築くことが出来ます。
だから、幼少期には特にお母さんとの安らぎのふれあいが必要なんです!
人の一生の根幹を支える基本的信頼感が確かに子どもの中に育ち、その子の人生が豊かなものになります様に。