くっつくとオキシトシン


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こんばんは、久しぶりの日記帳です。

今日は4カ月ぶりにご来院の患者様を施術し、いろいろとあって元気とは言えませんでしたがこのタイミングで鍼灸施術を担当させて頂ける事を臨床家として幸せに思いました。

さて、今話題のオキシトシン

注目度が高く、多くの研究者が新たに発見したオキシトシンの効果は、我々の様に鍼灸臨床に携わる者の臨床経験が研究で実証されたものとして、大変恩恵を受けているものの一つです。

今夜は、オキシトシンというホルモンが人間同士のふれあいの場で、どの様な働きを持っているのかを簡単に触れてみたいと思います。

皆さんも、「他者とのふれあい」によって心地良さとか安らぎを感じた事があると思います。

・辛い思いを抱いているとき、親友が自分の肩にポンと温かい手を置いてくれた瞬間。

・寂しさで押しつぶされそうになっているとき、親や兄弟の温かい抱擁を受けた瞬間。

・幼い頃、お腹が痛くて泣いているとき、お母さんの大きな優しい手でなでてもらった瞬間。

どう感じましたか? 忘れちゃったかな(笑)。
おそらく大半の人は、心地良くほっとして安心したり、励まされて元気になったのではないでしょうか。

肌に触れられること、触れることは体にどのような影響をもたらすのでしょうか。

触れられた感覚は、快・不快の情動と連携して<安らぎと結びつきの反応>を誘起すると言われています。

その背景にある生理的なメカニズムは、まさにオキシトシンの働きにあります。

オキシトシンは、我々鍼灸師も勉強する生理学でも出てくる代表的なホルモンです。

今では原始的ですが、その代表的な作用は出産時の子宮収縮・授乳中の射乳反射・産後の子宮復古などの作用があるホルモンで、脳下垂体後葉という場所から分泌されます。

実はこのオキシトシンは上記の様な作用以外にも、大変多くの働きがあります。

例えば、

細胞分裂・治癒・栄養の蓄積

コルチゾール値上昇と低下・血圧/心拍数の上昇と低下

痛みの閾値が上がる(痛みが軽減する)・免疫系の強化

好奇心・不安の軽減・母性行動・他者との相互作用・性的活動

これらを大雑把にまとめると、「成長の促進」「社交性を養う」作用と言えます。

オキシトシンの作用に関する多くの研究結果から、赤ちゃんへのベビーマッサージ(積極的な皮膚接触でも同じ)の効果として。

有意な体重・身長・頭囲の増加。睡眠時間の増加。泣いたりぐずったりしている時間の減少。病気になる回数の減少。

などが報告されています。

また、肌と肌の心地よい触れ合いは、触れられた側のみでなく触れた側にも同様の作用が生じるとされています。

このことは、親子の触れ合いというのはオキシトシンの恩恵を受け、<安らぎと結びつき>を大いに促し、良好な親子関係や健全で幸福な子育てに貢献していると言えます。

実はこのオキシトシン、脳下垂体からだけではなく心地よい触れ合いによって、皮膚(表皮ケラチノサイト)でも産生されていることが分かったのです。皮膚で産生されるオキシトシンの役割については未だ解明されていない点が多いのですが、肌と肌との触れ合いによって、皮膚でも分泌されるということは色々なことを物語っている様に思います。

親子関係だけでなく、友人や夫婦、恋人の関係においても、まずは皮膚同士を接触させる機会つまり握手や抱擁、頭や髪をなでる、頬を寄せ合うなどの行為そのものが、人と人との絆を強めることに直結していることが分かりますね。

私たちが行う「小児はりも、優しい刺激で反応のある皮膚をなでる事であらゆる症状の軽減」を図ります。

この表皮への心地よい刺激が、オキシトシンの産生を促進している可能性が高いです。

そして、何よりも喜ばしいのは施術を行っている我々鍼灸師もオキシトシンの作用によって(?)、幸福感に包まれながら仕事ができるという事です。

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