妊娠と陰陽のバランス③


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免疫といってもいったい何なのさ!

この頃はテレビや雑誌や何とかセミナーとか、色んな場面で免疫に触れられており、分かりやすい説明も沢山ありますね。
免疫全体の詳しい説明については、世の中に沢山情報源がありますのでそちらでお勉強なさってください。

この先、妊娠に関連するところをお話するのに、その前段階の話をしておきます。

ここは、免疫のベーシックです↓(ご存知の方は読まなくていいと思います)
免疫は大きく分けて、細胞性免疫と液性免疫に分けられます。(分け方は他にもあります)
◎細胞性免疫とは、白血球という免疫担当細胞が自ら非自己の排除にあたること。
◎液性免疫とは、白血球が非自己を攻撃するための飛び道具システムのことです。
細胞性免疫は遅延型(ツベルクリン反応)、液性免疫は即時型に働きます。

そして、免疫担当細胞=白血球には種類(仲間)があります。
単球(組織ではマクロファージ)、顆粒球、リンパ球という大きく3種類です。
【単球】
単球(マクロファージ)は血液中から外にでて、組織に異物が侵入してきたら貪食して処理します。
つまり、食べてしまうということです!
マクロファージは、我々の体内に単細胞時代のアメーバの性質を残している免疫担当細胞です。
顆粒球やリンパ球は、このマクロファージから進化した免疫系なのです。
そんな古いお付き合いのマクロファージは、現代を生きる人間の体の中で確かに生きていて、大切な免疫系の一端を担っています。
違う言い方をすると、マクロファージは進化していない免疫であると同時に、どんなに機能の進化した免疫系の中でも必ず残っているということです。

【顆粒球】
顆粒球は、マクロファージから進化したもので、細胞の中に顆粒をたくさん含むのでこんな名前がつきました。顆粒球もマクロファージのように貪食能があります。
食べられた異物は顆粒の中の加水分解酵素で消化されます。このとき、化膿性の炎症を起こして治癒にいたります。傷口が化膿する、歯茎が化膿するときは顆粒球が働いています。【リンパ球】
ウイルスやハウスダスト、異種タンパクなど細菌よりもっと小さい異物が入ってくると、もう顆粒球が食べる作用が働かないのです。
このようなさらに小さな異物を処理するために、マクロファージから進化の過程で生み出されました。リンパ球は抗体を使いより小さな異物を凝集(くっつける)させます。
リンパ球が関与すると、免疫性の炎症に発展して処理されます。
リンパ球には、Tリンパ球とBリンパ球があります。Tリンパ球とBリンパ球は、分化する場所と働きが異なります。
このリンパ球は水中から地上に生活が変わっていく進化の過程で生まれました。
マクロファージ→NK細胞→胸腺外分化T細胞→胸腺で分化するT細胞・骨髓で分化するB細胞
※Tリンパ球、Bリンパ球=T細胞、B細胞のことで、新しい免疫細胞たちです。

顆粒球やリンパ球は、マクロファージから進化した免疫系だと言いました。
我々の祖先が水の中で生活していた頃、リンパ球が発動しなければならない状況はありませんでした。
つまり、ウイルスやハウスダストなど空気を媒体にする非自己が体内に入ることがなかった時代だったからです。
ということは、昔から持っていた免疫であるマクロファージやNK細胞や胸腺外分化T細胞は自分の体の中の異常に働くもの、つまり自己応答性を持っています。
自己応答性とは、自己抗原に反応することです。言い方をかえると、自己抗体を有するということです。自己抗体とは自分自身の細胞や組織を抗原とする抗体のことです。
今日のポイントは、我々は祖先から受け継がれた免疫系を持っていること。
その中でも、最後まで進化した新しい免疫(Tリンパ球、Bリンパ球)は外来抗原と反応し、古来からの免疫(マクロファージやNK細胞や胸腺外分化T細胞)は自己応答性に働く免疫であること。
実は妊娠に関わってくるのは、この昔から持っていた免疫機能なのです。
この自己応答性に働く免疫機能を正常に働かせることが、妊娠を成立させる条件の重要なポイントなのです。
次回はもう少し細かくリンパ球の話を掘り下げながら、実際に妊娠との関連を進めていきます。

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