不妊症 30代女性
症状
2019年3月より一般不妊治療開始。
クリニックでの検査では、
・子宮筋腫
・高プロラクチン血症
・フーナーテスト(頚管粘液検査)で不良
同年7月、8月、9月に人工授精を試みるも妊娠成立せず。
2020年1月に当院受鍼となった。
治療経過及び結果
来院時の症状手足に汗をかきやすく、その汗で冷えてしまう。
事務職のため日中座っている時間が長く、下腿の浮腫みがみられる。
同時に肩こりや腰痛もみられる。
睡眠の質が安定せず、寝つきが悪い日や中途覚醒が一晩に何度かある。
所見としては、
手足の冷え、下腿の浮腫み、下腹部の過緊張が目立った。
その他に、脈は沈んで弱く、歯痕舌。
背骨周りの筋緊張も強く、背骨の動きが制限されている。
その他の症状慢性疲労
肩こり
頭痛
腰痛
副鼻腔炎
冷え性
むくみ
PMS(易怒)
便秘(月経周期)
姿勢不良(猫背)
経過当院の初鍼は、1月中旬であった。
同月下旬にAIHを控えているとのことで、来院された。
関与できる期間が短いが、できる限り子宮内膜の状態を良くするお手伝いをします。と治療開始。
任脈‐督脈(身体の正中を巡る経絡)の流れが悪く、悪姿勢ため関連する臓腑に機能不全が見られた。
まず、
子宮
鼻・喉
肺
に改善すべき所見が見られた。
不定愁訴も多く、任脈-督脈というからだの正中を巡る循環に問題が見られたため、一定期間の時間を掛けて治療することが良い結果に繋がると判断。
3ヶ月から4ヶ月かけて、妊娠→出産→育児に適した身体にしていきましょうと説明し、ご本人も納得した上でスタートとなった。
結果的には初来院から約4ヶ月後に、体外受精で妊娠成立。
現在妊娠8ヶ月に入り、月に2回ほど鍼灸治療を受けて安産に備えている。
考察
夫の配偶子にも不良所見があり、栄養療法のアドバイスを行い同時にフォローしたこともよい結果に繋がったと考えられる。
ご本人は、身体の苦痛を多く感じておられ、不定愁訴が多く根本から改善するための期間を明確にしてスタートできたこともよかった。
結果的には便秘や、鼻炎や、不良姿勢による腰痛が改善されていき、気がつくと4ヶ月後に妊娠となった。
妊娠後も軽いつわりがあったが鍼灸治療で緩解し、逆子になることもなく順調に妊娠8ヶ月を迎えた。
妊娠が成立する頃には、腰痛も、鼻炎も、同時に改善されたことは、東洋医学の「異病同治」そのものの結果である。