不妊治療~最新医療から見えてくる課題


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こんにちは。
先日、日本不妊カウンセリング学会に参加してきました 😀 
場所は東京の虎ノ門。
ここにはビルの合間に神社があるなど、THE東京を感じさせられました(笑)。
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二日間に渡って、不妊治療に関わる最前線の研究から、東洋医学(はりきゅう)が関わる不妊治療の現場まで様々な立場の方々が発表され、様々な意見を聞く機会になりました。

今回強烈に印象を受けたのは、遺伝子に関する技術の進歩です。
ART(生殖補助医療)の分野にも今後この技術がどんどん組み込まれていくでしょう。
話を聞くほどにその技術開発の速度に驚き、うまく言葉に出来ないのですが少しの恐怖を感じえませんでした。

PGS(Preimplantation Genetic Screening)・・・着床前遺伝子スクリーニング

不妊治療に詳しい方や、実際にART(生殖補助医療)に臨まれている方はご存知かも知れません。

あるデータによると、体外受精(ART)での生産率は39歳で10%41歳になるとわずか6%
同時に流産率はそれぞれ、30%と40%。

PGSというのは、反復流産を繰り返す方の受精卵の中には染色体異常が関わっている可能性があるということに着目して誕生した検査です。
この技術は、この流産率を下げるのに優位に貢献するスクリーニング検査だとされ、海外ではすでに実用化されています。
PGSでは、着床前に遺伝子配列に異常のある胚を判別して、体外受精における流産率を下げましょうというものです。
これにより、流産による母体へのダメージや時間のロスを減少でき、移植毎の出産率は上がるとされています。
ただ、ここで発見される異常遺伝子のある胚であって、何らかの問題は顕在するかもしれないし、しないかもしれない。
その中の数%は、なんの問題もなく産まれて大人になるだろうと予測されているそうです。
私たちが考えなければならないのは、PGSにより選ばれた受精卵以外の生命の中にも産まれて生きて大人になるという真実があるということですよね。
元気な赤ちゃんを産むことと、いのちの選別をすることは意味が全く違います。
私は、これからの医療技術が『人の多様性を否定する様な考え』に結びつかないことを願ってやみません。
今を生きる我々は、次の世代に真実を伝えていく義務があると思います。
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変化し続ける技術=現代の医療技術は日進月歩です。
ずっと変わらず受け継がれてきた技術=鍼灸治療で用いられる東洋医学は不偏です。
変わらぬ真実。人が人である事実に変わりはありません。
進歩(?)し続ける医療技術に対して、生身の人間の倫理観が一層重要になってきます。

また、この検査をしたからといって周期あたりの妊娠率が上がるわけではないし、妊孕性の向上に繋がるものではありません。
つまり、今後この検査がスタートしたとしても、母体の年齢や体調管理の重要性に変わりありません。
ですから、こどもを授かることを望むなら、貴女自身の体内環境を良好に保つことは絶対に必要です!
鍼灸治療(東洋医学)は、↑この部分をサポートします。
参考までに→ 当院の月経異常や不妊に関する治療についてはコチラ
顏の見えない状態で、言葉だけの説明では真実を伝えきれません。
当院で治療を受けてみて、初めて実感される方も非常に多いです。

私は男性の鍼灸師ですので、自身の身体経験として月経異常や不妊を語ることは不可能です 😥 。
しかし、同じ性であることばかりが貴女の問題を解決してくれるとは限りません。
患者様が鍼灸院に何を求めてご来院されているのか、患者様はどのような環境に身を置かれているのか、その中で何をお考えになり、どんな思いでおられるのか。
患者様の気持ちに一歩でも近付きたい。「ごめんください。」と懐に飛び込むことで、患者様の本当の苦痛を取り除くことが出来ると信じています。

鍼灸師でありながら、このように現代医療の勉強をする理由は、来院いただける患者様の理解を深め最高の治療を提供したいからです。
患者様の殆どは病院へも通院されています。ですから、現代の患者様を前にして現代の医療を全く知らないことは、患者様の置かれている立場を心底理解できないかもしれない。
「鍼灸は不妊治療にも良いって聞いたけど、実際のところどうなんだろう?」と思って、勇気を振り絞って来院した鍼灸院の施術者が不妊治療について何も知らなかったら患者様はガッカリしますね。

当然、鍼灸師であるならば、東洋医学のスペシャリストであり続けるべきです。
そしてさらに向上し続けるために、今ある技術を研磨していく訳です。
研磨です。
知識や経験を重ねて、技術は研磨していくものだと思います。
私の師匠もそうですが、経験者ほど治療はシンプルに見えるものです。

ずっと変わらない医学=東洋医学は2000年以上前から受け継がれている医学です。
私たちが行う鍼灸技術は、変わらぬ真実を追い求めるもの。

私は、更に経験と知識を積み重ねて、専門技術を有するひとりの人間として、最大限の努力をして患者様に寄り添いたいと思っています。
日曜日、臨時診療をしましたが患者様から「ご懐妊」の嬉しい報告もいただきました 😀 。
一安心ですが、ここからが本当に大切な時期です。鍼灸でしっかりと母体の管理をお手伝いしたいと思います!