我々鍼灸師が行う、はりきゅう治療について様々な事が記載されている医学バイブル<黄帝内経(こうていだいけい)>。2200年以上前の中国で編纂された医学経典です。
今の日本において、はりきゅう治療と言っても、その治療法は多種多様です。
様々な流派や治療献立があります。
しかし、それらの基本原則はこの黄帝内経に沿っています(いるはずです)。
ここには、こう記載されています。
「鍼法の奥義は、陰陽をととのえることを知るにある。」
私自身も陰陽の調和が取れている状態を目指していますし、患者さんに対してもそれを促す治療をしています。
私の治療院にいらっしゃる患者さんの訴えで最近増てきた症状、
「何となく気だるくて、やる気が出ない。」
2月~3月に入っても本当に増えています・・・。
まさに陰陽の調和が乱れている事で現れやすい症状です。
以前も紹介しましたが、陰と陽は共存しているものです。ただし、その機能役割は異なります。
樹木に例えると、根や幹が陰、枝葉が陽にあたります。
大木は水鏡に映したように、地上に出ている枝葉と同じだけ根を張っている。
陰が無ければ、陽は無いのです。
そして、日本の今の時期は、
「木の芽時」です。 東洋医学ではこの事を、「昇発(しょうはつ)」と言います。
寒冷の季節から温暖の季節へ。大気(自然)のエネルギーが一年で最も大きく変化する時期。
この季節を生きる生物すべてに大きな影響を与える時期です。
現代人は野生的な感性が鈍麻しているし、便利な生活のために、この大自然のエネルギーバランスつまり、陰陽の変化を意識していなくても生活することができます。
しかし、
もともとウィークポイントのある者、高齢者、持病を持っている者にとって、この大きな変化が心身に与える影響はみなさんの想像以上です。
人間は自然と調和して生きてこそ、人間でいられると思います。
意識しなければ、もしくは意識しても気がつかない、心身に起こる変化に最も注意を傾けるべき時期が来ています。