妊娠と陰陽のバランス⑥


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いよいよ、話が妊娠免疫に入りました!
末梢血の話はしましたね!
末梢血中には顆粒球60%、リンパ球35%、残りがマクロファージです。
しかし、顆粒球とリンパ球の比率は個人差があります。
顆粒球が高い人、リンパ球が高い人など。
個人差以外にも顆粒球とリンパ球の分布が変化する要因があります。
同時にリンパ球の分布も変わります。新しいリンパ球たちと、昔からのリンパ球たちの分布です。

さて、なんでしょう?

実は自律神経系の働きと連動しています!
ここで、出て来ました自律神経!!
自律神経の働きは大体みなさんご存知だと思います。
抹消神経は大きく分けて3つの種類があります。
運動神経、自律神経、体性(感覚)神経です。
自律神経はその名の通り、自律的に働く神経。つまり内臓を働かせる神経です。

自律神経の働きを説明するとこれまた膨大な量になってしまいますので、ここでは一旦置いておきます。
しかし、妊娠にはこちらも大変関連深いため、後に触れることになると思います。

さぁ、話を免疫に戻します。
顆粒球は交感神経が緊張すると分裂して数が増えるようになっています。
リンパ球は副交感神経が優位になると数が増えます。

それは、顆粒球の膜上にアドレナリンレセプター、リンパ球の膜上にアセチルコリンレセプターを持っているからです。って、いう説明もここでは省きます。
しかし、これはアトピー性皮膚炎や、虚弱体質や、片頭痛や、様々な症状とも関連しているところです。

新しいリンパ球は増えると困ることもあるかもしれませんね。アレルギーの問題など。
では、古いリンパ球はどうでしょう?
子宮内膜ではどうでしょう?肝臓ではどうでしょう?腸管ではどうでしょう?
正常に機能する胸腺外分化T細胞が増加して、異常のない妊娠免疫を実現するには重要なファクターになりそうですね。
いっつもストレスを抱えて、イライラして、ソワソワして、交感神経型に生活している人。
顆粒球が優位に多く、相対的にリンパ球が少ない。腸管や肝臓の機能が低下する。抗体を作る細胞も減少して免疫力も下がってしまう。
この調整が重要なポイントなんです。
この点を踏まえた治療をすると妊娠に向けた良い準備ができます。

東洋医学で重要なのは陰陽のバランスです。
不妊に限らず、東洋医学では『陰陽の不和』こそが病の原因としています。

そのほかにも蔵象理論、五行説など様々な東洋医学的な視点があります。
鍼灸師はそういった視点で皆さんの健康状態を見ているのです。
私が当院の不妊専門鍼灸では、免疫つまりホメオスタシスと蔵象論を元に、みなさん個人個人の所見から治療の組み立てをしています。
個人個人の所見は、私は脈とお腹を診ます。特にお腹を重視します。お腹を変えてあげれば、全体が変わります。

人体の恒常性が保たれている状態は、「陰陽調和」です。つまり全体が整っています。そうでないときは、『陰陽不和』です。
陰陽不和から陰陽調和。
自律神経も陰陽、月経周期も陰陽、受精も陰陽、やじろべえの様に機能して正常です。シーソーでは駄目です。

自然妊娠を目指す方から、体外受精にトライされている方まで共通して必要な身体機能をサポートして、子供を授かるのに必要な準備をお手伝いする。
それが、当院の不妊専門鍼灸です。
そのほかにも、痛みや不快症状の鍼灸施術では、注目している点がいくつかあります。
例えば、蕁麻疹が出来やすい体質や時期と妊娠免疫とを考えたことがありますか?
蕁麻疹を起こすヒスタミンやIgEの反応(新しい免疫)の前に働く古い免疫による処理。
それをここでは書けませんが、一般の皆さんには当院がどんなことを念頭に施術しているのか、今回までに具体的な点を紹介できたと思います。

臓腑2

それからもう1点。
前回も少し触れましたが、受精卵がお母さん側から同化も異化も受けない準備ができているものかどうかも大変重要です。
これについて、次回以降掘り下げていきたいと思います!